

タイトル:ねんねこ通信59号
日付:2012/12/22(土)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ねんねこ通信 59号 2012.12 http://komoriuta.cside.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎目次
●一票の重さ
●山口県の子守唄
●コラム−秋芳洞(あきよしどう)の名称
●編集後記
============================================================================ ◆一票の重さ 12月16日は第46回衆議院総選挙の投票日でした。その結果はご承知の通りで すが、今回もまた一票の格差が問題になりました。何の差を基準として格差を判定す るのか、調べてみました。人口・有権者数・投票者数などがありました。これらの数 は常に変動しますから、選挙区を区分する選挙では一票の格差が完全になくなること はありません。多くの国では一定の年数ごとに区切りを見直すことが法制化されてい ますが、その事務の煩雑さが問題ともされています。 日本では選出される議員一人当たりの人口が選挙区によって違うため、人口が少な い選挙区ほど一人一人の投じる一票の価値は大きくなり、人口の多い選挙区ほど一票 の価値は小さくなってきます。 2011年の最高裁判決を受け、小選挙区を「0増5減」する法案が国会で成立し ましたが、今回の選挙には間に合わず、違憲状態のままでした。 ============================================================================ ◆ 山口県の子守唄 ぎっこたんまっこたん 沖ゃ波が高いぞ あばたの爺が はい緒(櫓綱)を切らして 海の中へどぶどぶどぶ 海の中へどぶどぶどぶ
ぎっこたんまっこたん 沖の波は高いよ おか(陸)へ寄ってお通りや 海の中へ だぶだぶだぶ ※幼児を抱き、歌に合わせて船をこぐ動作をし、最後に下に沈めていく。遊ばせ唄
大さむ小さむ 小さむの家にゃ 餅ついてかこて 泣く子にゃ一つ 笑う子にゃ二つ 子守りにゃ三つ ※子守りに三つというのは嬉しいですね。守りが大変だということの証明です。
けんけん山のきじの子は なして鷹にとられた あまりにけんけん泣いたゆえ それで鷹にとられた お前もあんまり泣くと 鷹にとられてゆくだろう ※ちょっとした脅かしがありますね。
婿をとるのは だれむすめ 糸屋八郎左の おとむすめ さてもよい子じゃ 器量な子じゃ 器量で育てた 子じゃものに 木綿十反 買うてとらしょ 小袖八反 買うてとらしょ それがうえでも 不足なら 京や大阪に つれのぼる 連れてのぼるこた やすけれど あとで父母 泣くなみだ 泣くななみだは 船に積み 船はしろがね 艪はこがね やんさ押せ押せ みやこまで みやこみやげに なにもろた 一にゃこうがえ(笄) 二にゃかがみ 三にゃこだまの 帯もろた 帯はもろたが まだふけん(くける。帯に仕上げる) 今夜ふきょか お父ごさん あしたふきょか 母ごさん あしたのあかりに ふけつれば 蓮華の花より まだ見事 桜の花より まだ見事 牡丹 しゃくやく ゆりの花 ねんねこよーー ぼうちこよーー ※途中から唄の内容が変わってきています。口承で受け継がれてきているので、 唄う人の気分でどのようにでも変化していきます。それが子守唄の面白いところ です。 次郎や太郎や 馬をどこへつないだ さんごろ松へ つないだ なにょ食わして つないだ あくた(稲のはかま)を食わして つないだ あくたの中を さんぐろさんぐりしおったら 銭が一文 あったげな その銭にゃどうした 米を買うて候 その米はどうした 酒に造って候 その酒どうした 犬がねぶって候 その犬はどうした 打ち殺して候 その皮はどうした 太鼓に張って候 その太鼓はどうした 鳶がつついて候 その鳶はどうした 打ち殺して候 その羽はどうした 矢にして候 その矢はどうした あんな山こんな山 打って打って 打ち捨てた ※よく知られている「お月様いくつ」の唄に似ています。あくたの中から出てきた 一文が、どんどん変化していく様子はその地方によって色々です。最後は皆なくなっ てしまうのは同じです。
ねんねん唱名 じょうざんげ 三月じゅうは よろこべよ よろこび心の おこるのは 弥陀の本願 きいたゆえ 弥陀の本願 きいたのは すぐにこいとの ご勅令 勅令きいたが 信心よ 信心ひとつで まいるのよ ※唱名は仏の名号を唱えることです。この地方では三月に特別な仏事があったので しょうか。阿弥陀様に帰依する気持ちが現れています。始めからの子守唄ではなく、 お年寄りが孫の守りをするときにでも唄っていたように思われます。
どこへ行くとも 八ヶ浜にゃ行くな ヨイヨイ 松露がんぼ汁(芋汁)で 胸ょこがす ヨイヨイ どこへ行くとも 白滝にゃ行くな ヨイヨイ 小麦だんごで 胸ょこがす ヨイヨイ どこへ行くとも 厚母(あつも)にゃ行くな ヨイヨイ いやな厚母の かがち底(すり鉢) ヨイヨイ 山が高うて 室津が見えぬ ヨイヨイ 室津恋しや 山憎くや ヨイヨイ ※子守りが自分を慰めてうたう「守り子唄」です。
最後に愉快な唄を一つ。 向こうの山に猿が三匹おったげな 一番猿はもの知らず 二番猿ももの知らず 三番めの猿がようものを知って 小豆屋へ行って小豆を1升買うてきて 塩屋へ行って塩を五合買うてきて 焚いて食べたが塩からし あんまり塩が辛いので 前の河へ飛び込んで 水をがぶがぶ飲んだらば あんまり腹が太うて 鐘撞堂へ上がって 屁をぷりぷりひったらば 和尚さん怒りゃある 小僧さん笑やある 怒りゃんな笑やんな 明日の市でぴいぴいがらがら買うてましょ
============================================================================ ◆コラム−秋芳洞(あきよしどう)の名称 洞内に滝があるために「滝穴」と呼ばれていましたが、1926年5月、昭和天皇 (当時は皇太子)が訪問された際、「滝穴」ではあまりにも味気ない呼び名なので、 もっと相応しい名前を付けたほうが良いのではないかとの提案があったそうです。 その後、入江侍従長から「秋芳洞」と命名されたと報じられましたが、その電文は 「あきよしどう」でしたので、現地の村名が秋吉村でもあり「秋吉洞」と思ったそう です。が、念のため確認したところ「秋芳洞」であることが分かりました。 1963年の秋吉村を含む4箇村が合併したとき、町名を秋芳町(しゅうほうちょ う)としました。滝穴の秋芳洞は「あきよしどう」ですので、ちょっと紛らわしいで すね。(所在地は山口県美祢市にある秋吉台の地下100m) ============================================================================ ◆編集後記 今年もあと数日で終わります。東京では都知事選挙もありました。12月に入って の選挙だったからなのか、衆議院選の投票率は59,32%で戦後最低でした。政治 に期待が持てなくなったのでしょうか。それでも棄権することは危険に通じます。 来年は「巳年」です。巳は植物に種子が出来はじめる時期、また草木の生長が極限 に達して、次の命が作られはじめる時期とも言われています。期待しましょう。
1年間ご愛読ありがとうございました。メリークリスマスそして良い年をお迎えく ださい。 ============================================================================ このメールの配信を今後希望されない方は、お手数ですが、次のURLから配信中止の 手続きをお願いします。 http://komoriuta.cside.com/nenneko/koudoku.html ---------------------------------------------------------------------------- ●子守唄研究室
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