子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信57号
日付:2012/8/26(日)

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 ねんねこ通信 57号  2012.6    http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●オリンピックとパラリンピック

●福井県の子守唄

●コラム−永平寺の思い出

●編集後記

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◆オリンピックとパラリンピック
 8月12日、2012年の夏季オリンピックは閉幕しました。1896年にアテネ
(ギリシャ)で第1回目の近代オリンピックが開催されてから30回目になります。
ちなみに第1回大会からすべて参加しているのは、ギリシャ・イギリス・フランス・
スイス・オーストリアの5ヶ国です。気になっていたのですが、ロンドンで行われて
いるのに始めにアナウンスされる言葉がフランス語なので、調べてみたら大会の第1
公用語として決められていたのです。私にとって新しい発見でした。
 パラリンピックは、戦争で負傷した兵士たちのリハビリテーションとして「手術よ
りスポーツを」の理念で、1948年イギリスのストーク・マンデビル病院で行われ
た競技大会が、第1回パラリンピックといわれています。夏季大会と同じ会場で開催
することになったのは1988年ソウル大会からで、冬季大会は1992年のアルベ
ールビルからです。8月29日、第14回のパラリンピックが開幕します。
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◆ 福井県の子守唄
 
 ねんねんや おべろりや ねんねの父さんどっち行った
 あの山越えてさとへ行った 里の土産になんじゃった
 でんでん太鼓に笙の笛 それを鳴らいて行ったれば
 雨と霰が降ってきて 傘一本貸しておくれ
 傘ないというて貸さなんだ あるものないと言うて貸さなんだ
 あんまりお腹がたつならば 明日は京都へ参って来て
 麻種三粒買ってきて 畠のすみへ蒔いて置いて
 一寸伸びたら肥をかけよう 三寸のびたらすうぐって
 三尺のびたら刈って来て しれを濡らしておしにして
 ふんでかせいでかせにして 機にまつうて織り上げて
 紺屋さん紺屋さん 染めておくれ
 どんな色に染めましょう
 袖の模様は桜の花 松と竹との裾模様
 
 麻を育て布に仕上げて紺屋さんで染めてもらうところまでは、同じような内容の唄
は他にもありましたが、染めのところが少し違っていました。「模様は松にこぼれ松
色は納戸の小紫」とか、「肩から裾まで真っ赤のごちょうの総ちらし」などがありま
した。「ごちょう」とあるのは「胡蝶」かも知れません。鮮やかですね。

 ねんねんや ねんねんねんねんや 坊やの寝た間にままたいて
 赤いお茶碗にままよせて 赤いおてしょにとと(魚)よせて
 おととがいやならお豆腐やの子 お豆腐やいやならお菓子やの子
 お菓子やがいやなら密柑やの子 密柑やがいやなら餅やの子
 餅やがいやなら饂飩やの子 饂飩やがいやなら
 やっぱり坊やは お母さんやお父さんの子
 ねんねんや ねんねんや ねんねんや

 この坊やは何が気に入らなくてぐずっていたのでしょうか。あれこれ並べられてい
るうちに寝入ってしまったのかもしれませんが「やっぱり坊やはお母さんやお父さん
の子」と言われれば、安心して眠りにつくことが出来たでしょう。

 ねんねんねんねんよ ねんねこさんよ 酒屋の子
 酒屋はいやけりゃ嫁入りさそう
 嫁入り道具はなになにと 箪笥 長持 鋏箱
 それほど持たしてやろからにゃ 
 もうはよ帰ろうと思うなよ
 千石積んだ船でさえ 風さえ変わらにゃ帰ります

 嫁入り道具の3点セットは「箪笥 長持 鋏箱」です。他にはには着物(小袖)が
何枚か風呂敷包みの中に入れられていたようです。興味深いのは「これだけ支度を持
たせるのだから、戻ることなど考えないように」と親に言われても「風の吹きようで
千石船も出て戻る」と言っていることです。福井県だけでなく他県でも見られます。

 じいじの ばあばの 綿ぶし雪がふるわいの
 大戸も蔀(しとみ)も閉(た)てさっし
 背戸の烏が啼くわいの
 すりばちかぶって走らっし

 これは遊ばせ唄のように思われます。動作を想像してみるのも面白いです。

 終わりに「守り子唄」を紹介します。
  
 うれしかなしや 薮入り来たが ここにおる気かおらぬ気か
 ここにおる気は少しもないが この子かわいさに去(い)なりゃせぬ

 ねんねんねんと 寝てさえくれりゃ 親も子も楽 守も楽
 
 寝たか寝なされ 起こしはすまい 起こそまいとの守じゃもの
 
 泣いてくれるな 泣かせてなろか 泣けば子守の身がたたぬ

 七つ八つから守奉公すれど こんな泣く子は負うて知らん

 わが子可愛いけりゃ守重宝なされ 守の憎いのが子にあたる

 守はつらいか おなごが憂いか おなごそもない 守が憂い

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◆コラム−永平寺の思い出
 今は昔・・・とでも言いたいくらいの年月が経っていますが、鈴木大拙氏の禅入門
の小冊子を手にし、曹同宗大本山永平寺を訪ねました。半世紀も前のことです。
 福井駅から京福電鉄永平寺線(今は廃線になっている)に乗って、永平寺駅下車。
当時の電車は木製で、足元の板は油のようなものがしみ込んでいて、鼻をつく臭いが
いま思い出されてきました。昼間でしたので乗客は少なく、観光地とは言えない所で
した。参道には人影もなく、鬱そうとした杉並木だけが印象に残っています。建物の
記憶は定かではなく、大自然のなかに「無の私」が存在しているだけでした。
 禅宗について何か学んだかというと、飛びついたばかりの私に分かるわけはありま
せん。「悟る」とは「生きる」とは何か。いまだに禅問答を繰り返しています。
 開山は道元です。彼は比叡山で修行を積んだそうです。11月にそこに行きます。
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◆編集後記
 先日、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催中の「大英博物館古代エ
ジプト展」に行ってきました。パピルスに書かれた世界最長の「死者の書」全37m
を見たかったからです。歴史的に貴重な資料を見ながら「地獄の沙汰も金次第・・な
のかな」と下種の勘繰りをしてしまうような場面もありました。申し訳ない。

 夕方になっても暑さが続いているためか、夜顔がしっかりと開かずに半開きのまま
しおれてしまっています。ちなみに屋上の気温を測ってみたら46度、湿度は35%
でした。今日咲くはずの蕾は、傘に開くところから折れていました。来年はプランタ
ーの置き場所を変えなければ、と思いました。
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