子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信55号
日付:2012/4/21(土)

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 ねんねこ通信 55号  2012.4    http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●マイナンバー

●天満の市(大阪の子守唄)

●コラム−橋の下に何がいるのか

●編集後記

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◆マイナンバー
 『社会保障・税に関わる番号制度における「番号」の名称の決定について』という
ことで、番号制度創設推進本部が平成23年5月30日に公表した名称です。
 以前から話題にされてきましたが、この名称について一般公募があったことは知り
ませんでした。公表資料によれば2月24日から3月23日までの公募期間に807
件の応募があったそうです。
 今、私がこのことについて知りたかった理由は、昨年3月11日の大災害の救済や
支援の事務処理などが、もっとスムーズに行ったのではないかと。図らずも政府この
制度の基本方針を昨年の1月30日に発表していました。理念として「番号制度は、
国や地方公共団体等が国民一人ひとりの情報をより的確に把握し、一方、国民が国や
地方公共団体等のサービスを利用するための必要不可欠な手段となるという、いわば
国民と国・地方公共団体等との間の新しい信頼関係を築く絆となるものである」と。
 「絆」の文字がこんなところに書かれていたとは、何かを予感してしまいます。
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◆ 天満の市(大阪の子守唄)

 ねんねころいち 天満の市 大根(だいこ)揃えて 舟に積む
 舟に積んだら どこまで行きゃる 木津や難波の 橋の下
 橋の下には おかめがいよる おかめ捕りたい かめこ怖い  (浪速区)

 ねんねころいち 天満の市 大根(だいこ)揃えて 舟に積む
 舟に積んだら どこまで行くか あすは難波の 橋の下
 橋の下には かもめがいよる かもめ捕りたし 網欲しや
 網が欲しけら 網屋へ行きゃれ どんな網でも ござります  (交野市)
 (網ではなく竹と唄っているところもあります)

 私部(きしゃべ)金太郎さんの 娘さんの衣装は 着物羽二重 前掛け錦
  掛けるたすきは 本ビローロ(ビロード)
 かわい子じゃとて 甘茶で育て 甘茶育ては のちゃ乞食
 乞食うまいもんや よその飯くろて 土塀にもたれて しらめ(虱)取る
 丹波与作は 馬追いなれど 今はお江戸で 刀研ぐ
 ねんねころいち 丹波の市で 大根揃えて 船に積む
 舟に積んだら どこまで行こか 行こか丹波の 橋の下
 橋の下には カモメがいよる カモメ捕りたい 網欲しや
 ねんねしてくれ 寝かしておくれ 晩の御飯の すわるまで
 お前おもてか 照手の姫か 八百屋お七か 弁天か      (枚方市)
 (甘やかして育てると、将来は惨めなことになるよ、と戒めているようですが、
 それにもめげず「どっこい生きている」ようですね。)

 この子よう泣く ひばりかひよかョー ひよでごんせん 子でごんすョー
 この子寝さして ひとんを着せてョー くるりたたいて 針仕事ョー
 ねんねした子に 赤いべべ着せてョー 起きて泣く子に 縞のべべョー
 ねんね根来へ 行きたいけれどョー 川がおとろし 紀ノ川がョー
 ねんね根来は おしろ(後)のやぶでョー としょり来いよの 鳩が鳴くョー
 ねんねころいち 天満の市でョー 大根そろえて 船に積むョー
 船に積んだら どこまで行くにョー 木津や難波の 橋のひた(下)ョー
 橋のひたには おかめがいてるョー おかめおとろし ちゃとねんねョー
                               (泉南郡岬町)
 (木津・難波村は現在の浪速区に属します。昔は大阪旧市内への守り子の供給地の
 一つでもありました。)

 うとて回れば やかましけれど これは守り子の 役じゃもの コイコイ
 ねんねころいち 天満の市で 蕪(かぶら)揃えて 舟に積む コイコイ
 ねんねねんねと おいど(尻)をたたく なんで寝らりょか 叩かれて コイコイ
 泣いてくれるな 泣かしてくれるな 誰も泣かさぬ ひとり泣く コイコイ
 お前言うの鳥 わしゃ聞くの鳥 山で鳴くのが カラス鳥 コイコイ
 恋という字は どう書くぞいな 花のツボミと 書くぞいな コイコイ
 恋にやぶれて 鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が 身を燃やす コイコイ
 泣くな嘆くな 五月の蝉は 小松抱えて 腰つかう コイコイ
 うとて回れば ショウショが怖い 馬の頭がゴロゴロと コイコイ  (吹田市)
 (ショウショとは村人達が恐れている竹薮のことです)

 ねんねころいち 天満の市よ 大根揃えて 舟に積む コイコイ
 舟に積んだら どこまで行きゃる どこはどんどの 橋の下 コイコイ
 橋の下には お亀がいるで お亀捕りたい 網ほしや コイコイ  (茨木市)
 
 これら二つの子守唄は「コイコイ節」と言われ、大阪の守り子唄の多くに見られま
す。他にも「ヨイヨイ」「アラヨイヨイ」「ドッコトドッコイ」などのはやし詞があ
ります。守り子たちの歩く早さと関係があるようです。 
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◆コラム−橋の下に何がいるのか
「天満の市」は大阪の代表的な子守唄です。その広がりは「江戸子守唄」には及び
ませんが、北は長野県あたり、南は広島県や四国地方にまで伝播域を持っています。
 天満の市は、旧淀川に架かる天神橋と天満橋間の北岸にあった「天満青物卸市場」
のことです。江戸時代中期には幕府の保護を受け勢力を誇っていましたが、昭和に入
り大阪中央卸売市場に統合され、現在も少しだけその名残を留めているそうです。
 ところで、橋の下には上に挙げた唄にもあるように、色々なものがいました。一般
的には「怖いもの」で、なかなか眠らない子を脅すような内容が多いのですが、口承
ですので唄う人の受け止め方によって違ってきます。「おかめ」は「おおかみ」では
ないのか、「亀」や「カモメ」と唄っている人もいますが、その言葉が意味する裏に
何があったのか、少し興味があります。大阪商人の心意気、庶民の知恵が『お上』か
らの圧力に抵抗しての言葉のようにも思えます。

 大阪府知事から大阪市長に位置を替えた橋下氏の下には、何がいるのでしょうか。
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◆編集後記
 マイナンバーは国民一人ひとりのプライバシーにも関わる重要な事ですが、なぜか
メディアには載ってきません。内容が複雑であるからでしょうが、だからこそもっと
知らせてほしいと思います。考える時間が欲しいからです。

 朝顔の種を買いました。今年は日影が作れるようにネットの掛け方を工夫しようと
思っています。
 近所の家々の花を見せていただきながら、遅かった春を楽しみました。
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