子守唄研究室
研究室へようこそねんねこ通信子守唄リンク集
研究リポート書き込み掲示板TOPページへ
ねんねこ通信

タイトル:【ねんねこ通信】2号 2003.1
日付:2003/1/2(木)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ねんねこ通信 2号  2003.1    http://komoriuta.cside.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◎目次

●新しい年を迎えて

●ねむの木の子守歌:平安時代の子育て

●コラム--現代の乳母は

●編集後記

============================================================================
◆新しい年を迎えて

謹んで新年のお慶びを申し上げます 會本希世子

 昨年はホームページのサイトをオープンしたり、このメールマガジンも発行するこ
とが出来ました。私にとっては飛躍的な年でしたが、暮らしの方は相変わらず不景気
のままです。皆様はいかがでしょうか。  今年もよろしくお願い申し上げます。

============================================================================
◆ねむの木の子守歌

 ねんねの ねむの木 ねむりの木
 そおっとゆすった その枝に
 遠い昔の 夜の調べ
 ねんねのねむの木 子守歌

 うすくれないの 花の咲く
 ねむの木陰で ふと聞いた
 小さなささやき ねむの声
 ねんねねんねと 歌ってた

 ふるさとの夜の ねむの木は
 今日も歌って いるでしょか
 あの日の夜の ささやきを
 ねむの木 ねんねの木 子守歌

 この詩は美智子皇后が高校生の時につくられたもので、後に山本正美氏によって曲
がつけられました。手持ちのCD(あの時、この歌 第九集ー由紀さおり・安田祥子
子守歌を歌うー)に入っています。

 美智子皇后がは、それまでの皇室の子育ての慣習をかえて、自分の手で育児をしま
した。それについては諸々の抵抗があったことでしょう。古来、貴族層では子どもの
養育は乳母で、生母が養育するのは身分の低い貧しい階層だったからです。

 平安時代の貴族豪族層の授乳をはじめとする子育ては、母親ではなく乳母(メノト)
がすることだったのです。乳母―天皇や親王・内親王の子どもの養育担当―の存在は
古くからみられていましたが、貴族層にも広がり一般的になってくるのは平安中期頃
からでした。

 現代の研究でわかったことですが、母乳を与えている間は、次の妊娠が抑制される
こと、従って出産した女性が授乳しないということは、次の妊娠の可能性が早くなる
こと名のです。子どもの死亡率の高い時代でしたから、出来るだけ多くの子どもを生
む必要がありました。特に天皇家の妻たちは次の天皇候補になる男子の出産が切望さ
れていたのです。

 枕草子162段に「うらやましいものは天皇の御乳母、皇太子の御乳母。天皇付き
の女房で、どこでも出入りを許されている人は、なんともうらやましい」と言ってい
ます。更級日記の作者が、若い時から長年の間、天照大神を祈れば叶えられると見て
きた夢は「天皇の乳母になって内裏で働く」と言うことでした。残念ながら彼女の夢
は叶えられませんでしたが、受領層―地方官―の女性たちにとって憧れの職だったの
です。

 乳母は基本的には養君の家に住んで、その子どもの養育(教育も)にあたりました。
その関係は一生涯続き、親兄弟同様の交流がありましたから、養君が天皇の位に昇れ
ば、その乳母の家族・親族は大きな権力を手にすることが出来たのです。

 このような乳母の存在は、支配者層や富豪の間では近年まで残っていました。遅く
までこの慣習が残っていたのは皇室だったのです。一般から皇室に入った正田美智子
さんだったから、又、時代がそうさせたのかもしれませんが、皇太子妃が自分の手で
子育てするのは画期的なことだったのに違いありません。

 ねむの木の子守歌は、新しい開かれた皇室の見えない力になったのかもしれません。
       参考図書:平安朝の母と子--服藤早苗著--中公新書、ほか。
============================================================================
コラム
 現代の乳母は?
 1994年に労働省が始めた事業に「ファミリー・サポート・センター」があります。
子育て中の就労家庭を地域で支えるシステムです。厚生労働省となってその支援の幅
が広がり、子育て中の人なら誰でも利用できるようになりました。
 ファミリー・サポート・センター事業は会員制(援助者・利用者)による、育児の
相互援助事業です。あなたの地域のことを知りたい方は(財)女性労働協会のホーム
ページにアクセスしてください。子育て支援の自主グループも載っています。
 http://www.jaaww.or.jp/ (財)女性労働協会のホームページアドレスです。

============================================================================
編集後記
世の中が不況で殺伐としている時こそ、自分のために子守唄を歌って欲しいと思って
います。郷愁ではなく、自分が持っている能力や可能性を引き出すために、です。ため
しに、あなたが好きな子守唄、あなたが知っている子守り唄を口ずさんでみてください。
次号は2月中に発行の予定です。
============================================================================
このメールの配信を今後希望されない方は、お手数ですが、次のURLから配信
中止の手続きをお願いします。
http://komoriuta.cside.com/nenneko/koudoku.html
----------------------------------------------------------------------------
●子守唄研究室

・ホームページアドレス
http://komoriuta.cside.com/
・メールアドレス
komoriuta@cside.com

============================================================================

<<次の号 前の号>>


戻る