子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:【ねんねこ通信】創刊号 2002.11
日付:2002/11/5(火)

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 ねんねこ通信 創刊号  2002.11    http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●ごあいさつ:創刊にあたり

●各地の子守唄から:中国地方の子守唄

●編集後記

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◆ごあいさつ

創刊にあたり 會本希世子

 いま、なぜ子守唄か
 私が子守唄に興味を持ったのは、板橋区の女性達から生活史の聞き取りをしたなか
で、板橋にも子守を雇っていた家があったことと、そこから女達の生き方・生かされ
方に当時の社会が見えてきたからです。

 それらの子守唄には、口減らしために子守に出された幼い子ども達(多くは女の子
)の、命の叫びが織り込まれているものが多くあります。「子守ほど辛い仕事はない
」と歌いながら、自分の境遇を受け入れ自ら慰めていた幼い子ども達の姿が浮かび上
がってきます。それは、生きるために受けなければならなかった試練でもありました。
それが、今につながるものは何なのか、そのような命の叫びを掘り起こして、庶民の
歴史に光を当てたいと思いました。

 また、私が行ったアンケート調査で、いま子守唄があまりうたわれていないことが
分かりました。地域との関わりが希薄になってきた現代社会において、子育て中の家
庭が孤立化していること、育児が近代化し親世代との隔絶ができたことなどの理由か
らもあると思います。

 しかし「うた」がもたらす効果は、聞いている子供はもちろんのこと、うたってい
る人の気持ちを和ませるものがあります。「ねんねんころりよ おころりよ…」で始
まる唄だけが子守唄ではありません。どんな唄でも子供とのコミュニケーションをと
る時にうたう唄は、子守唄と言っていいと思います。

 子守唄は「眠らせ唄」「遊ばせ唄」「守り子唄」に分類して研究されてきました。
これが子守唄になるのかしら、と思われる遊ばせ唄には、古くは「おつむてんてん・
・」や「かいぐりかいぐりとっとのめ」などがあります。今、それらは「手遊び歌」
と言われて「げんこつやまのたぬきさん…」や「むすんでひらいて・・」など、表情
豊かな動作をともなった歌に引き継がれています。

 「いま、なぜ子守唄か」と問いかけをしたわけは、時々ニュースになる子供の虐待
や死にいたるせっかんをしてしまう「親」の子育て事情を、知りたいとの思いからで
す。子守唄を口ずさんでみませんか。心が少し暖まったような穏やかな気分になりま
すよ。これから各地の子守唄を紹介しながら、子育て事情についても調べていくつも
りです。
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◆各地の子守唄から:中国地方の子守唄

 ねんねこしゃっしゃりませ 寝た子のかわいさ
 起きて泣く子の ネンコロロ 面にくさ ネンコロロン ネンコロロン

 ねんねんころいちや きょうは二十五日さ
 明日はこの子の ネンコロロ 宮参り ネンコロロン ネンコロロン

 宮へ参ったときゃ なんというて拝むさ
 一生この子の ネンコロロン まめなよに ネンコロロン ネンコロロン

 橋の下には かもめが ひよるさ
 かもめ取りたや ネンコロロン わしゃこわい ネンコロロン ネンコロロン

 この子守唄は昔から後月郡高屋村(井原市高屋町)で歌いつがれてきました。この
唄を聞いて育った声楽家の上野耐之が、作曲家の山田耕作に披露したところ大変感動
され、氏はすぐに編曲にとりかかり「中国地方の子守唄」として発表したそうです。
昭和3年4月のことです。上野氏はその題名を「母の子守唄」としたかった、という
ようなエピソードも伝わっています。
 井原市は岡山県の南西部に位置し、昭和28(1953)年に市制が施行されました。
平成11年に開通した井原鉄道の子守唄の里高屋駅にある「華鴒美術館」に中村晋也
の作品「子守唄」(ブロンズ148cm)が展示されています。その前に立っていると「ね
んねこしゃっしゃりませ・・」と、子守唄が聞こえてくるような雰囲気が醸しだされ
ていました。
 高屋町では毎年「日本の子守唄フェスティバル」を開催しています。

 井原市史民俗編を入手しました。この資料をもとに地域性や社会背景を調べていき
たいと思っています。研究リポートに記載します。
 
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◆編集後記

 井原線は総社市と神辺町を結ぶ凡そ42kmを、1時間かけて走っています。車内で隣
りに座った女性が「この辺の人たちはこの鉄道の開通を心待ちにしていたんでしょう
ね。開通した年に乗ったんですが、子供も大人もみんな、電車に手を振っているんで
すよ。私は町なかに住んでいて電車の音がうるさいと思っていたんですが、そうだ、
やっと電車の恩恵にあずかれる人たちがいたんだ、って。人間て身勝手ですね」と話
してくれました。私も身勝手な人間の1人です。

次号は1月発行の予定です。
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