子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信17号
日付:2005/8/16(火)

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 ねんねこ通信 17号  2005.8    http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●疎開先小学校のクラス会

●千葉県の子守唄

●コラム--「かげゆどんのねこ(民話)」から

●編集後記

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◆疎開先小学校のクラス会
 メディアでは戦後60年の特別企画が、日々報道されています。第二次世界大戦開
戦の年に生まれた私は、東京は危ないからと父の故郷の千葉県市原郡姉崎町(現・市
原市姉崎)に疎開しました。間借りしていた町の家から父の生家(豊成)に移り、小
学2〜5年生まで過ごしました。
 ある年、私の住所を探し当てた旧友からクラス会の知らせが届いたのです。「ふる
さと」の歌にあるように、私にとって「忘れがたき故郷」でしたので、いそいそと出
かけました。それ以来交流が深まり、何かあるたびに連絡しあっています。それぞれ
多彩な才能の持ち主で話題も豊富、子守唄の情報も頂きました。
「こんな民話もある」と1冊の本を贈ってもらいました。コラムで紹介します。
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◆千葉県の子守唄

 あんよは おじょず  ころぶは おへた
 あんよは じょうず  ここまで おいで  (市原市)
 幼かった私の記憶にこの子守唄は残っていませんが、友達の家で見た光景が思い出
されました。あの時、おばあさんは手をたたきながら赤ちゃんにこの唄を歌っていた
のではないか、と。

 安房の子守唄
 ホラホラ ほうらい豆 十六ささげ
  ささげが嫁に行って 追い出された
 お留が大きくなったら 江戸へやる
  お江戸じゃちりちり ちりめんずくし
 お江戸じゃちりちり ちりめんずくし
  いなかじゃ菜種の 花ざかり    (千倉町)
 ほうらい豆というのは、いり大豆に砂糖の衣をかけ、紅白に着色した豆菓子です。

 四日市場の子守唄
 泣いてくれるな出船の出先ョ 泣くと出船が出そくなるョ ヨイヨイ
 お前泣くからこのわしまでがョ つらい涙が先に立つョ ヨイヨイ
 守りは楽なよでつらいものョ 雨風吹ければ宿はなしョ ヨイヨイ
 ヨーイ四日市場で日が暮れてョ 芦崎たんぼで世が明けたョ ヨイヨイ
 早く来い来い師走の二十日ョ いろいろお世話になりましたョ ヨイヨイ
 ヨーイ四日市場のよごれ道心棒ョ いくらよごれでも籠つくるョ ヨイヨイ
 銚子市四日市場を中心に利根川沿いの地区で古くから歌われてきました。道心棒と
は乞食のことだそうです。今では差別用語ですね。

 ねんねんころりねんころり
 ねんねの子守りはどこへ行った
 あの山越えて花取りに
 一枝取れば昼になる
 二枝三枝めにゃ日が暮れた
 今夜はどこへ泊まろかな
 ちゃんぽんぽんの木の下に泊まろかな
 ちゃんぽんぽんの木の下にゃ蜂がいて
 蜂にさされて目が覚めた    (市原市)
 「ちゃんぽんぽん」はホタルブクロのことです。
 江戸子守唄系の旋律で歌われていますが、歌詞は花折り系のようです。

 ねんねんころりよ おころりよ−ォ
 坊やの父さん どこへ行った−ァ
 あの山こえて とと釣りに−ィ
 ととは何びき 釣ってきた−ァ
 坊やが食べるほど 釣ってきた−ァ
 坊やによいとこ 食べさせて−ェ
 ねこには骨でも しゃぶらせろ−ォ
 だからよい子だ ねんねしな−ァ   (銚子市)
 ゆったりとした歌い方で、各句の終わりを高くはねあげて眠りを誘っています。
 
 ねんねんころりに おやすみよ
 おめめつむって唄きいて
 唄はなにうた子守うた
 里の子守りの唄きけば
 おらが父さん馬追いで
 日にち毎日町通い
 朝の道には星明り
 晩のかえりは月が出る
 三国峠の真ん中で
 里の明かりをみるという
 父親が出てくる唄はあまりないのですが、家族のために働いている様子が浮かびま
す。第二の故郷にこんな素敵な子守唄があることを知りませんでした。近々訪ねたい
と思っています。
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コラム
 「かげゆどんのねこ(民話)」から−−−ふしぎな笛ふき猫
『その昔、安房の国、北朝夷村(今の千葉県千倉町)に、かげゆどんとよばれる笛好
きの名主さんがいました。家では1匹の白猫をかっていました。・・・』と始まりま
す。ある日、年貢米の取立てについて代官から呼出し状がきました。不作で困ってい
るところへ無理難題を言われたらどうしようかと、悩みながら宿で一夜を明かしまし
た。その夜、夢か現か隣の部屋で猫が話し合いをしているのを見ました。翌日の名主
会議は厳しいものでした。村に帰ってみると大事にしていた笛も猫もいません。何日
かたったある日、薬売りがやってきて、江戸に笛をふく猫がいて将軍様にかわいがら
れているという話をしていきました。その夜、名主は夢を見たのです。自分が猫にな
って殿様の前で笛をふきご褒美をもらえることになりました。早速年貢米のことを話
し、少なくし欲しいとお願いしました。
 翌朝、笛は見つかり猫も帰ってきました。そして、代官から「将軍様から年貢米を
減らしてよいとのお達しがあった」と知らせてきました。・・・と。
 昔から、かわいがっていた動物が人を助ける話や、薬売りが情報源となる話は多く
伝えられてきました。この民話もその流れでしょう。
            [文・北村薫  絵・山口マオ  発行(株)教育画劇]
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編集後記
ファミリー・サポート事業を受託して5ヶ月になろうとしています。間借りしてい
たところから引っ越し、同時進行で事務所の改修工事をしています。二足の草鞋が3
足になり、忙しい日々を過ごしましたが、ホッとひと息、夏休みを取っています。
 年を経るごとに夏の暑さが辛く感じられるようになりました。皆様はいかがですか。
アンケートに貴重な書き込みありがとうございました。ご協力をお願いします。
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