子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信53号
日付:2011/12/22(木)

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 ねんねこ通信 53号  2011.12    http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●今年の漢字「絆」

●長野県の子守唄

●コラム−戸隠の伝説

●編集後記

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◆今年の漢字「絆」
 3月11日の大震災。津波・原発事故による未曾有の被害が、人々の心の深部にあっ
た感情まで揺さぶりました。私自身も今までにないショックを受けました。「えっ何
てこと」表現する言葉がありませんでした。
 そこで今年を表す漢字ですが「絆」でした。ちなみに絆の本来の意味は「動物をつ
なぎ止める綱」のことで、語源由来辞典によると「離れないように繋ぎとめる綱」の
意味から、人と人を離れがたくしている結びつきを言うようになった、と。
 この言葉の使用例が書かれている平安中期の「和名抄」を編纂した人がこれを見た
ら、言葉が生き物であることを実感するでしょう。自由を束縛する「絆し−ほだし」
の意味があるからです。
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◆長野県の子守唄

 ねんねん合歓の木に花が咲き 赤い木の実がなりました
 南の国から飛んできた 小鳥がその実を取りました
 誰にやるかと問うたれば ねんねした子にあげますよ
 坊やも早くねんねして 赤い木の実を貰いましょう

 ねんねんねむの葉っぱねるだろし 坊やもねむの葉っぱよくねろよ
 ねたらほうびに何やろか 空のお月さんのうさちゃんが
 ついたお餅をどっさりと いものお舟につみこんで
 坊やのところへ持ってくる ねんねんねんねん ねんねんね

 上の二曲とも典型的な寝させ唄の歌詞です。合歓(ねむ)の木は夕方になると葉を
閉じて、まるで木自体が眠っているかのように見えるので、唄に取り入れたのでしょ
う。花はピンクでフサフサした化粧ブラシのようです。マメ科の植物(木)です。

 向こう通る 猿が三匹通る
 先の猿はもの知らず あとの猿ももの知らず
 真ん中のちょび猿は よくもの知っていて
 あの山くずして堂建って 堂のまわりに花まいて
 「子供(こんども)衆子供衆 花折りに行かねかね」
 「なんの花折りに」
 「牡丹しゃくやく 菊の花折りに」
 一本折っちゃ腰にさし 二本折っちゃ腰にさし
 三本目に日が暮れて 「どこの宿に泊まろうか」
 「酒屋に泊まって」 油かす貰って 枕元においたらば
 猫かいたちかちょっくらちょっと引いてって
 そこを見つける見つけると たがずっぽ拾って
 手でとるもおっかなし 足でとるもおっかなし
 隣の嫁どんの足駄を借りて ふんつぶしてみたならば
 赤い絹が十二尋(ひろ)白い絹が十二尋
 十二尋の絹を 小袖にこしらえて
 わが子に着せれば 人の子がうらむ
 人の子に着せれば わが子がうらむ
 向こう通るおちょぼ(子守娘)に着せて
 上のすわにざらり 下のすわにざらり
 ざらりのすごに 栗一升まいて (すわ・すごは座敷の方言のようです)
 爺っさと婆っさに 餅栗 餅栗

 始めとと終わりではまったく内容が違いますが、子ども達は歌い手の温もりを感じ
ながら眠りに落ちるのでしょう。ちなみに「尋」は両手を左右に広げた時の両手先の
距離です。

 ゆうべ夢見た お寺の裏で 猫が三味ひく 南瓜が踊る
 赤とうがらしが お手たたく
 
 ゆうべ夢見た 薬師堂の前で
 鬼が餅つくきゃ閻魔がかえす
 そこで地蔵が粉をつける
 うさぎ兎なにして跳ねる
 十五夜お月さま見て跳ねる ぴよんぴよん


 この夢が何を表現しているのか分かりませんが、夢の内容が唄われているのは珍し
いです。  最後に守子の嘆き唄を紹介します。
 
 よいよいよい子だねんねしな 守ほど辛いものありゃしない
 旦那にゃ叱られ子に泣かれ おかみさんに出ろ出ろ言われる
 大事なこの子をかたるから 木綿ちりめん買っとくれ
 おか染めなんじゃ嫌でござる 木綿ちりめん買っとくれ
 坊やはよい子だねんねしな

 岡染めは、本来藍以外の色による染色を指しています。藍染めの「瓶染め」に対し
て「引染め(刷毛を使う)」の染め方です。この子守りは本物の藍染の着物が欲しか
ったのでしょう
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◆コラム−戸隠の伝説
 先日、戸隠古道を歩いてきました。奥社に続く杉並木の参道脇には、数日前に降っ
たという雪がまだ残っていました。
 戸隠神社には古事記や日本書紀に書かれている「天の岩屋戸神話」に登場する神々
が祭られていますこの神話の大筋は、日神の天照大神が天の岩屋に閉じ籠られ、国中
が暗闇になった。そこで策がねられ、天照大神を岩屋から出ることのきっかけを作り
、それが成功して、もとの光(太陽)をとりもどした、と言う話です。
奥社には岩戸を引き開けた「手力雄命たじからおのみこと」、中社には天照大神を
岩戸から呼び戻すため、さまざまな方策を考えた「思兼命おもいかねのみこと」、
日の御子社には、岩屋の前で半裸で踊ったという「細女命うずめのみこと」が祭られ
ています。
 戸隠には「比丘尼石」「八百比丘」「西行桜」「念仏池」「かまど池」などの伝説
もあります。詳しいことは宮澤和穂著「幻冬の戸隠」龍鳳書房をお読みください。 
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◆編集後記
 冬の空は、都会でも星が良く見えます。冬の星座の代表でもあるオリオン座は、私
の好きな(見つけやすいこともあり)星です。先日も月食を見ました。天体に関する
知識はあまりないのですが、四季を問わず、夜空を眺めるのが好きなのです。
 ひょんなことから、息子がクリスマスプレゼントだといって「ピンホール式プラネ
タリウム(組み立て式)」を買ってくれました。雑誌「大人の科学」の付録?です。
細かい作業は苦手なのですが、星空見たさに、今、頑張って組み立てています。

 今年は政治も経済も大変な年でした。北朝鮮の金正日総書紀の訃報が報じられまし
た。若い後継者の下で、この国はどのような変化が起きるのでしょうか。
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