子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信132号
日付:2025/2/24(月)

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 ねんねこ通信 132号 2025.2  https://komoriuta.sakuraweb.com/
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◎目次
●国際女性デーと世界女性会議

●巳年にちなんで

●コラム―氏と戸籍の女性史

●編集後記
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◆国際女性デーと世界女性会議
 3月8日は女性の地位向上を目指して国連が定めた国際女性デーで、今年で50年に
なります。シンボルフラワーはミモザです。国連女性の地位委員会が1975年を「国際
女性年」と定め、国際会議を開催してきました。1995年に北京で開かれた「第4回世
界女性会議」ではNGOの参加募集があり、私のグループもワークショップを持ちま
した。テーマは「女たちの生きた証を書き残そう!」です。言葉をどうするかが問題
になり、日本語ー英語ーエスペラント語の順で話すことに決めました。仲間の話によ
れば、当時の中国にはエスペラント語を学んでいる人が多くいるとの情報があったの
です。「何を伝えたいのか」内容の分かりやすさと質量について、何度も議論を重ね
ました。庶民の生きた証を残すことで、次世代への課題が見えてくる と。
 5年ごとに開かれる世界女性会議は、今年、インドのバンガロールでの開催です。
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◆巳年にちなんで
 何回目かの干支が巡ってきました。「蛇」にまつわる話を探してみました。
 
・須佐之男命の大蛇退治(古事記)
 高天原を追放された須佐之男命(以後{命」と書きます)は出雲国の肥河(島根県
斐伊川)に降り立ちました。箸が流れてきたので川を上ると、老夫婦が娘を間に泣い
ていた。そのわけをたずねると「娘は8人いたが、年に一度八つの頭を持つ怪物(八
俣遠呂智)が娘を食べにくる。今年もその時期が来た。最後に残ったこの娘 櫛名田
比売(以後 姫)も食べられてしまう」と。命は姫との結婚を条件に大蛇退治を請け
負った。命は神通力で姫を櫛に火炎自分の髪にさしました。そして老夫婦に強い酒と
八つの門を作りそこに酒を満たした酒桶を置くように命じた。待っていると大蛇がや
ってきて八つの頭をそれぞれの桶に突っ込んで酒を飲み始めた。大蛇が酔って寝てし
まうと、命は十拳釼で切り刻んだ。このとき尾を切ると中から太刀が出てきた。この
太刀を天照大御神に献上した、これが草那藝之太刀です。
 命は姫と暮らす場所を求めて出雲の須賀の地へ行き、そこで「八雲立つ出雲八重垣
妻籠に八重垣作るその八重垣を」の歌を詠みました。夫婦はその地で多くの子(神)
を産み出雲国の基礎をつくりました。

 民話にも「蛇」の出てくる話が多々あります。
・塩山昔ばなし 
 人間になりたかった蛇     深い竹林の奥にきれいな湧水の池があり、そこに
大きな蛇が住んでいた。その蛇は人間にはりたいと願い続けているうちに、ある日、
池に映った自分の身体が美しい女の姿になっていた。ある日、通りかかった修行僧と
結ばれ、やがて蛇娘は身籠った。1年近くの年月が経って修行僧が帰ってくると、赤
ん坊に乳を飲ませている娘が待っていた。しかし、その姿は腰のあたりから蛇になっ
ていた。娘は今までの経緯を話し、僧に会えて子供を授かったことを感謝し、もとの
蛇の姿になって池の中へと消えていった。僧は清源寺という寺に入り子を育て、修行
をさせ、その寺の住職に据え、自分は全国行脚に出て二度と帰らなかった。

・黒部の昔話     
 お光は大蛇になった     黒部川にかけられた愛本橋のたもとにあった茶屋に
働き者の娘、お光が両親と3人で暮らしていた。多くの村人たちから求婚されていた
が、ある朝お光が起きてこないので寝床を見に行くと姿が無かった。行方を探したが
見つからず、3年たったある日突然帰ってきて「子を産むから産屋を覗くな」と言っ
た。気になって覗いてしまうと、お光の身体は蛇に変わっていた。親子の関係もこれ
でおしまいだと言って、赤ん坊をだいて黒部川に消えていった。お光は両親が生活の
糧にするようにと「粽」の作り方を教えておいた。

・相馬・双葉地方のわくわく伝説
 麦をつく若者は大蛇     ある村に若者がやってきて、麦つきの手伝いをして
村人たちを喜ばせた。村人たちは不思議に思いその正体を見極めようと後をついて行
ったところ、沼に入って行った。大蛇だった。村人は魔物だと恐れて退治してしまっ
た。しかし、何のために大蛇が麦打ちをしにきたのか分かっていない。
 他に大蛇伝説には、大蛇が七曲り半したという山、大蛇の角・耳・歯が落ちた地な
どの話があります。

・遠野むかしばなし
 人間ど蛇ど狐     大水で溢れかえった川に人や蛇・狐が流れてきたので、そ
ばを歩いていた医者はそれらを助け、一緒に旅をした。ある宿に泊まったところ、そ
の家の主の具合が悪くなったので治してやると、その評判をきいて多くの患者がきた
ので大金持ちになった。それを妬んだ男(助けられた人)が「あの医者は偽物だ」と
騒ぎ出し、医者は座敷牢に入れられたしまった。騒いだ男は医者になりすまし治療し
たが、治せるはずもなかった。蛇と狐は本当の医者を助けるために策略を練り、男に
噛みついて怪我をさせ「治せるのは本物の医者だけだ」と脅し、牢から医者を救い出
して、助けられた恩を返した。(人間は欲に走るけれど、動物は違う?と)
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◆コラム―氏と戸籍の女性史
 『いま、夫婦の氏が問われ、その声は女性のほうが高い。日本の氏問題を考えると
き、氏と戸籍の関係やその変遷、また諸外国との比較は欠かせない。本書はその点に
着目し、女性史の視点から氏と戸籍を初めて通史として捉えた労作』と帯に書かれて
います。初版の発行は1988年5月20日です。著者は久武綾子 出版社は世界思想社
 内容は1部ー日本の古代から現代までの氏と戸籍の女性史、2部ー比較法の視点か
らみた夫婦の氏 です。古代籍帳等に見られる夫婦の姓・女性の地位から始まって、
中世・近世・明治民法の戸籍制度、現行法における氏と戸籍に対する意識など、考え
させられる内容が盛りだくさんです。
 選択的夫婦別姓制度の議論が再開されていますが、夫婦同姓・別性、選ぶのは個人
です。著者は序で「いま、なぜ”氏と戸籍の女性史”が必要か」と問うています。
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◆編集後記
 いい加減に記憶していたヤマタノオロチの話、改めて確認しました。
 わが家のミモザ、もうすぐ開花します。国際女性デーの花であることを知って植え
事を思い出しました。そして手話を学ぶきっかけになったのは世界女性会議でした。
 寒波が続いています。でももうすぐ春がやって来るでしょう。そう願っています。
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